パンダすみれのひとりごと

日々のお気に入りをつづります

むしろ作者が最強のヒロイン♥

上橋菜穂子さんの「香君(下)遥かな道」を読みました。

 

上巻の「香君 西から来た少女」でも感想を書いたのですが、ようやく下巻にたどり着き、即、一気読みでした。

 

そして、しばらく、余韻に圧倒されました。

 

これは

人並み外れた嗅覚を持つヒロインが、その能力を使うことで、苦難を乗り越え、飢饉を防ぎ民衆や国を守るために、命がけで奔走するお話です。

ですが、ただヒロインが活躍するだけの単純な冒険物語では有りません。

 

この世界には

国の成り立ちがあり、政治があり、衣食住を支えるための労働があり、命に直結した農業があり、為政者にも、貴族にも、農民にも、それぞれの生い立ちがあり、それぞれの立場があり、考えがある。

 

現実世界では当たり前のことですが、

それでも、どうしたって人間は身びいきになり

自分の考えが正しくて

他の意見の者は悪者、としたくなるし

その方が物語を描く上では簡単です。

上橋菜穂子さんは

対立した立場のそれぞれの視点を描き

主人公にも単純に正解を与えません。

 

主人公が葛藤し、読者も同じように迷い、

何が大事なのか、どう決断するべきなのか、どうすれば道は開けるのか、

凡人なら投げ出したくなる状況を、それでも彼女はキリリと前を向いて立ち向かいます。

とてもとても、思慮深く、そして勇気があるのです。

く〜、カッコイイ!

 

上巻の時にも書きましたが

上橋菜穂子さんの作品のヒロインは、まず間違いなくカッコイイんです。

なぜなら彼女たちは、広い視野をもち、深い思慮のもと、困難であろうとも最善の道を選ぼうとするからです。

 

ここに来てついに、

彼女たちの思慮深さは、結局、作者である上橋菜穂子さんの思慮深さだと、私は思い至りました!

ファンの方はとっくに気づいていらっしゃったでしょうね…

すみません、浅はかで。

 

というわけで

作者である上橋菜穂子さんこそが、最強のヒロインなのではないでしょうか♥