夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」を読みました。
私は本が好きですが、読書家でも有識者でもありません。
好きなジャンルも作家もバラバラだし
読みたいと思った本をつまみ食いするように読むので
良く言えば一期一会、
悪く言えば行き当たりばったりの
超ライトな本好きです。
対して、
この物語の主人公·夏木林太郎は
二人暮らしだったお祖父さんを亡くし、
そのお祖父さんの遺した古書店で無気力に
暮らす引きこもりの高校生。
古書店の骨太な古典の蔵書をきちんと把握していて
同級生の女子にオースティンの「自負と偏見」をオススメするような
生粋の読書家です。
いろんなことを諦めかけていた彼の前に現れた不思議な猫に導かれ
林太郎は本を助け出すために迷宮に足を踏み入れます。
私は林太郎ほどの読書家ではないけれど
「本が好き」この気持ちは同じです。
どうしたら迷宮の本たちを救い出せるのかと言う問いは
それは、「なぜ本が好きなのか」と自問する事でした。
迷宮を一つ開放する毎に
林太郎の閉じていた世界も少しずつ開いて行きます。
そして、最後の迷宮で林太郎が見つけた「本の持つ力」が
私の中の漠然とした「本が好き」の理由にピッタリと重なり、
「ああ、そうだったか〜! うんうん、そうだよね!!」
と、初めて言語化されたような気がしました。
見ず知らずの作者の言葉で、初めて気付かされる心の声があったり
立場も境遇も違う登場人物と気持ちがシンクロしたり…
これだから、読書は楽しいんですよね♥