パンダすみれのひとりごと

日々のお気に入りをつづります

「化け者心中」からの「おんなの女房」

作者は蝉谷めぐ実さん。

 

最近の私の読書は

新聞やネットの書評を読んで

気になった作品を図書館で予約して

届いたら読む

という流れなのですが

この本も確かネット記事で読んで

興味を持って借りてみました。

 

ときは文政、ところは江戸。

 

時代小説も嫌いじゃないですが

歴史にロマンを感じない質なので

物語によっては全く興味がわかない場合も有るのですが

そんな私にもすっと入り込める作品でした。

ネオ時代小説、とでも言いましょうか

語りが軽妙でつるつるつるっと物語の世界にひっぱり込まれてしまいました。

 

歌舞伎になんか全く興味がない鳥屋の青年が、

魚之助という超人気元女形に気に入られたばかりに、

役者の中に混じった鬼を探し出す羽目になる、という物語なのですが…

 

まず、主人公の藤九郎が可愛らしい♥

うぶで気が弱くて、でも鳥に対する愛情は筋金入りで、傍若無人な魚之助の事も邪険に出来ない優しさがあって。

魚之助が気に入る気持ち、良くわかります。

 

そして、鬼かもしれない役者達のそれぞれの心情も、激しい情熱も描きこまれて、いったい誰が鬼で、誰が鬼ではないのやら…

役者である性、というのをこんなに熱く表現した物語は初めて読みました。

 

で、読み終えた直後にもう一冊

蝉谷めぐ実さんで

「おんなの女房」も借りて読みました。

こちらは歌舞伎役者の女房、志乃が主人公。

武家の娘で、歌舞伎の事は全くわかりません。

 

「化け者心中」の藤九郎も「おんなの女房」の志乃も歌舞伎を知らないので、

周りの人が教えてあげるよ、という体で歌舞伎のしきたりや演目の筋立ての解説が入る事で、私のようなど素人の読者でも、ついていけます。

 

「おんなの女房」は志乃以外にも歌舞伎役者の女房が登場して、

それぞれが女房としての矜持を持っています。

志乃も、最初はとにかく自分の居場所を得るために努力しますが

美しいお姫様のような燕弥と暮らすうちに

自分の女房としての矜持を確立していきます。

 

「化け者心中」がバディ物だとしたら「おんなの女房」は大ロマンス♥

 

二作品とも、

登場人物がみな美しくて、ドロドロした嫉妬や愛憎、芸に掛ける執念、弱さや儚さ、まるで少女漫画のようなきらびやかさ✨は圧巻です!

 

普段、時代物を読まない方にも是非!

オススメです♥