辻村深月さんの「スロウハイツの神様 (上)(下)」を読みました。
読後の感想は一言「さすが…!」
文章もキャラクター造形も構成も、辻村深月さんならでは、唸りたくなるほど見事です。
その中の一文
『口に出せないくらい好き、とか。簡単に名前が出せないくらい大事、とか。そういったことが人間にはある。』
これが、
ド直球で私の胸に刺さりました。
大事すぎて、誰にも見せたくない自分の気持ち。誰にも触れられたくない神聖な感情。
仲間内でキャーキャー言うのとはまた違っていて。
私の中にも未だどっしりと居坐っている乙女心、そのものを言い表しているんです。
これは
そんな気持ちを大切に、いろんな物を削りながらも、創作に打ち込んだクリエイター達の物語。
エピローグで正義が語る言葉、
「まぁ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね」
これがすべてかも知れません。
環の長い長い初恋と
コウちゃんの深くて不器用な愛が
いつか報われますように。
そう願いたくなる、愛の物語でした。